22年度活動報告「地球温暖化の時代は終わり、"地球沸騰化"の時代が到来した!」
目次
※2023年9月11日時点での情報に基づいて執筆されたものです。
はじめに
地球沸騰期!
2023年7月、国連事務総長のグテーレス氏はこの様に述べ、危機感迫る異例の会見を行いました。
皆さんご存じのようにWMO=世界気象機関などは、世界の平均気温が観測史上最も高くなるとの見通しを発表。今年の夏は"12万年で一番暑い年"となったのです。
もちろんこれで収まるわけではなく、例えば海水温の上昇も過去最高になっており、問題はそれがこの夏ではなく、地球の海の温度が最も高くなるのは3月、つまり海水温に関しては来春ピークを迎えるということ。
そして、この長く続く猛暑で人々が疲労のピークを迎え、これから多くの体調不良者やコロナの感染拡大等も予想されています。
正に気候危機は待ったなし!
もう「一人一人ができることから考えよう…。」などと言ってる場合ではなくなりました。
私たちのNPOは、気候危機に対しての効果的な行動を選択ができるように、学習や会員相互での情報、知見の共有等に力を入れています。
エコストアパパラギの2階に集まっての学習会やイベントなどでは、驚くほどの速さで会員相互の輪が広まっています。その結果いくつものチームができ、個人では到底なし得ないような行動が起き、結果を生み出しています。もちろん個人でこつこつと行動をしている方々の存在も見過ごせません。
国民的課題に
何より気候危機に立ち向かうためには、「気候危機を政治的な課題にすること」が最初の一歩であり、「国民的合意の形成」のために、エネルギーや食の問題等の大きな問題へのアプローチが重要です。
気候課題への取り組みでは、日本は国際社会から取り残されているといっても過言ではありません。
そういった状況下にあっても、NPO法人気候危機対策ネットワークの仲間たちの活躍は数多くの環境NGOの中でも特筆ものではないか?と自負しています。
今年度もまた驚くほどの活躍をされた仲間たちの活動を紹介させていただくことをとても嬉しく、そして誇らしく思います。
希望への旅
すでに1.1℃上がってしまった地球の温度、これを元に戻すことはもはや不可能と言われ、「せめて1.5℃に」という国際目標すら危うくなっています。
しかし、絶望的な状況であっても必ず希望はあります。地球を救うための行動は正に私たちのNPO活動にかかっているのです!これからも是非、共に「希望への旅」を続けていきましょう!
NPO法人気候危機対策ネットワーク 代表 武本匡弘
NPOの仲間たち
杉並区議会議員 ブランシャー明日香さん
2019年から西荻窪でエコロジーカフェを経営しており、手探りでエコを目指していた時に、オンラインのネイチャーセミナーに参加したことがNPO入会のきっかけとなりました。
2023年4月、候補者の中で唯一“環境活動家”を名乗って杉並区議会議員選挙に立候補し「気候危機対策」を前面に訴え、見事当選しました。
「2050年ゼロカーボンシティ」を見据え「気候区民会議」の実現、そして持続可能な未来を目指して活動中です。
7年後も本当に住みたい街大賞1位とるぞ藤沢プロジェクトチーム
2023年3月、小糸小学校(市内大庭)の多目的室の断熱工事ワークショップを市と共催。クラウドファンディングで資金調達を実現!
断熱した教室はポカポカになりました。実行委員が定期的に観測した結果、今夏の猛暑でも、断熱した教室とそうでない教室との間では、天井の表面温度や室内温度の差を確認できました。
今後も市と協力し、公共施設と既存住宅の断熱化をさらに進めたい考えです。
藤沢市環境審議会委員 益永由紀さん
自治体への働きかけの意義を強く感じ、昨年委員の市民枠への応募に至り採用となりました。
審議会は、行政の環境に関わる全部署の代表が集まる中で意見を聞いてもらえる貴重な機会で、専門家や私のような市民など、様々な立場から積極的に意見が出されています。地域住民が地域を変えていくという思いで、任期2年を努めたいと思います。(文:益永さん)
給食牛乳のプラスチック製ストロー削減 原澤幸希さん
小学4年生の頃からこの取り組みを始めた、皆さんご存じの幸希さんとお友達の小宮山柚子(ゆず)さん。
ついに今年6月、鎌倉市内の公立小中学校給食で、プラスチック製ストローの使用が廃止、バイオマスストローが導入されることになりました。子ども達が声を上げ行動を始めたことで市や教育委員会などが動き1歩前進に至りました!
今年2月には、幸希さんを含む小学生4名の環境活動家認定をしました。
(一社)LGBT-JAPAN代表理事 田附 亮さん
LGBTQが社会に周知されるだけでなく、互いに歩み寄る姿勢が大切であるという理念のもと、講演会や研修を実施しています。陸と海のゴミ拾いを定期開催したり、武本さん撮影の写真を活用しながら積極的に環境保護活動にも取り組んでいます。
気候変動が進めば自然災害がもっと増える。避難所では、LGBTQや女性への配慮不足、性暴力があったり、避難所を利用することもできない人がいます。今年4月の活動家の勉強会では、避難所で見た多くの課題や、環境問題との繋がりについて教えてくれました。
(一社)あつぎ市民発電所理事長 遠藤睦子さん
脱原発と地球温暖化防止の想いを具体的な形にして、 市民の手で再生可能エネルギーの発電所を創ろうと、2018年「あつぎ市民発電所」を立ち上げました。ソーラーシェアリング発電を軸としたまちづくりを目指して活動しています。
2023年4月からは、厚木市とあつぎ気候市民会議実行委員会の協働事業である「あつぎ気候市民会議」を実施しています。気候市民会議は、川崎市に続き県内では2例目となります。11月までに計6回の会議を開催し、年度内に「脱炭素市民アクションプラン」としてまとめる予定です。
小田原身知さん(アロハみっちゃん)
NPOの環境活動家養成コース認定第一号。
2022年12月に開催した『タネは誰のもの』の自主上映会には約100名が参加、2023年6月には『いただきます2〜ここは発酵の楽園〜』上映と、上映後の養老孟司先生とオオタヴィン監督による対談を主催し大盛会となりました。
次回上映会は9月30日(土)『原発をとめた裁判長そして原発をとめる農家たち』。詳細は、映画公式サイトまたは小田原身知さんのFBからチェックできます。
アニマルライツセンター湘南 鈴木萌さん
2022年10月から、NPOメンバーに向けた「活動家の勉強会」を月1回ほどのペースで主催し、現在、第8弾まで実施しています。
講師を担当するのもNPOメンバーです。それぞれが専門とする環境や社会課題に関する知識の共有や、行っている活動についての報告などをしてきました。
学習は多岐に渡り、NPOメンバーが普段どんな活動をしているのか知ることもでき、交流を深める有意義な場となっています。
Fashion/ Sustainability analyst 根本 亜希子さん
環境や人権、社会問題、ビジネスなど、あらゆる業界は全て繋がっているという考えから、2017年からファッションとサステナビリティの研究を始め、ファッション誌のサステナブル特集を監修しました。
2022年7月には、企業のESG戦略や機関投資家のESG投資戦略を支援する「サステナビリティ アナリスト」となりました。
現在、武本さんを呼んでの学習会・貸し切りでの体験乗船会などを会社関係者向けに企画しています。
OKシードプロジェクト事務局長 印鑰智哉さん
NPOでは講師の方をお招きし、エコストアパパラギ2階にて学習会を重ねており、印鑰さんには2022年からの連続講座にご登壇いただいています。第4回の学習会も計画中です。
OKシードプロジェクトは、農家や消費者など様々な立場から遺伝子操作されていない食を守り、ゲノム編集でない作物がわかるように「OKシードマーク」を作成し、マークを普及させることで日本での食品の安全に貢献することを目指している団体です。
22年度の活動記録
沖縄サンゴ観察ツアー(2022年11月7日~9日)
NPOメンバーのダイバーとスノーケラーで実施しました。
沖縄島のサンゴの被度は10%を切っています。まだ残っている2%ほどの健全な素晴らしい造礁サンゴや、辺野古新基地の埋め立てなどの基地問題を目撃してきました。
浦添パルコ前の海は、軍港としての埋め立てが決まっており、もうこのような素晴らしい海中景観を観察することはできなくなってしまうので、大変意義深い調査となりました。
太平洋航海プロジェクト(2023年5月25日~6月13日)
今回のクルーは全員NPOメンバーで、20代~60代の男女各4名。
グアム東方の海上で発生した台風2号によって、やむなくグアム行きは断念し、クルーは心底悔しい思いをし葛藤もありました。
那智勝浦では、若い漁師2人から藻場の再生に関する相談を受けました。地元の漁師や農家は、情報が錯綜し困惑している状況にあるということも思い知らされました。
台風に翻弄された21日間の船旅、寄港地で聞く話や漁師の嘆き…。
これほどまでに気候危機を体感したのは大変貴重な機会となりました。
その他の活動
2022年
9.17 NPO正会員向け連続講座 井田徹治さん 第3回
10.16 活動家の勉強会① 益永由紀「使い捨てプラをやめたらこうなった!」
10.30 矢部真子「今の“教育”とこれからの“きょう育”」
11.13 活動家の勉強会② 水田悠喜「気候危機とフェミニズムの関連性」
12.4 活動家の勉強会③ 第一部 中川香「沖縄サンゴ観察ツアー報告会」第二部 藤法淑子「どうする?どうなる?日本のエネルギー」
12.25 NPO正会員向け連続講座 印鑰智哉さん 第1回
2023年
1.15 竹内昌義さん(東北芸術工科大学教授・(株)みかんぐみ代表、建築物省エネ法の署名発起人)「夏涼しくて冬温かい家は断熱が作る!~これからの住まいのあり方~」
1.28 NPO正会員向け連続講座 井田徹治さん 第4回
2.12 活動家の勉強会④ 中川香「プラントベースと気候変動」
3.12 第54回みんなの消費生活展・特別講演 武本匡弘「海から見る地球~気候変動と海洋プラスチック問題~」・亀井里美「子育て世代の43歳、どんな世界で生きたいのか考えたらこうなった(現在進行中)」(主催:藤沢市)
3.26 活動家の勉強会⑤ 吉田章子「英語で学ぶ気候変動」
4.1 NPO正会員向け連続講座 印鑰智哉さん 第2回
4.29 活動家の勉強会⑥田附 亮「LGBTs×環境~僕がみたLGBTsと避難所~」
5.27 活動家の勉強会⑦ 茶谷ふさこさん(動物福祉ワーキンググループ)「いのちの授業-アニマルウェルフェアとエシカル消費-」
6.24 NPO正会員向け連続講座 印鑰智哉さん 第3回
6.25 武本匡弘・岡田千尋さん(アニマルライツセンター代表)「消費者には見えない 海の中 食事の裏側を知る」
6.25 武本匡弘・ブランシャー明日香「地球の治し方講座@オンライン」
7.29 / 8.26 活動家の勉強会⑧ 宮本陽子「畑の学校もくど~自然農体験~」
7.31 武本匡弘「気候危機と平和の危機@オンライン」(主催:平和のための埼玉戦争展)
お知らせ
『海の中から地球を考える プロダイバーが伝える気候危機』汐文社
東京都「学校司書が選ぶ小中高にお勧めの図書」に選ばれ、23年度の光村図書版 小学校5年の国語の教科書にて関連図書として掲載されています。
また、今春、桐朋女子中学校 (東京)、相徳学園中学(神戸)の入学試験問題としても採用されました。
『海の中から地球が見える~気候危機と平和の危機~』あけび書房
2023年2月に出版された新著本は7月の段階で重版が決まりました。
意外にも小中学生にも読まれています(写真が多いからでしょうか?)。早速、読書感想文等の報告もいただいております。